血球計算盤で細胞を数えるとき、
「どの細胞を数えるのか」「どの順番で数えるのか」で迷ったことはありませんか?
実際の現場では、数え方のルールは自分で決め、すべてのマスで統一することが重要だと教わります。
今回は、血球計算盤で細胞をカウントするときの基本ルールについて解説します。
血球計算盤とは?基本構造と役割
血球計算盤は、大区画が4つあり、
その中に小区画(4×4の16マス)が配置されています。
本記事では、この大区画での数え方のルールについて解説します。

ミニコラム|5×5に見えるけど16マス?
血球計算盤(標準型:Improved Neubauer)では、
中央の赤血球用エリアは**25×25の格子(1/400 mm²)で構成されており、
角にある4つの大区画は、それぞれ16マス(白血球カウント用)**に分かれています。
そのため、顕微鏡で観察すると、外枠の線も含めて5×5のマスのように見えることがあります。
しかし、実際にカウントするのは、赤線で囲まれた4×4の区画(16マス)です。
※本記事では、わかりやすくするため、赤線で囲まれた4×4の区画(16マス)をイラストで表現しています。
見た目に惑わされず、「区画」で数えることが重要です。
血球計算盤で細胞を数える前に知っておくこと
細胞数をカウントする際には、染色液を用いて希釈・染色を行う方法が一般的です。
代表的なものとして、チュルク液があります。
チュルク液は、
- 赤血球を溶かす
- 核を染色する
という作用により、白血球(leukocytes)を見やすくする試薬です。
※PBMCは白血球のうち単核球を指す用語で、本記事では一般的な白血球カウントを扱います。
チュルク液で処理した細胞を顕微鏡で観察すると、
核が染まった白血球がはっきりと見えるようになります。
実際には、顕微鏡のコントラストによって白く浮かび上がるように見えます。
一方で、
- 混入した赤血球の残渣
- 染色されていない構造物
などが見えることもありますが、これらはカウントには含めません。
また、細胞カウントに用いる試薬はこれに限りません。
例えば、
- トリパンブルー(生細胞・死細胞の判別)
- PBSそのまま(簡易的なカウント)
- 自動セルカウンター用試薬
など、目的や測定方法に応じて使い分けられます。
大切なのは「どの試薬を使うか」よりも、「どのようにカウントするか」です。
境界線のルール|どの細胞を数える?
結論:4つの辺のうち、どの辺を数えるか決めます。
例えば、
- 上と右を数える(下と左は数えない)
- 上と左を数える(下と右は数えない)
などのルールがあります。
重要なのは“どのルールか”ではなく“全マスで統一すること”です。
下の図では、『上と右を数える』ルールを例に説明しています。

数える順番のルール|ジグザグに数える理由
本記事では、右上からスタートし、下へ進みます。次の列では向きを変えて上に進み、
S字を描くようにジグザグに数える方法を例に説明します。

細胞数を数えたら、次は濃度の計算です。
👉【細胞数の計算がわからない人必見】2×10^6個の取り方|濃縮と分取をやさしく解説
なぜルールが必要?重複カウントを防ぐ仕組み
血球計算盤は、境界に細胞が乗る問題(ダブルカウント問題)が必ず発生します。
例えば:
- 右のマスでもカウント
- 左のマスでもカウント
すると、同じ細胞を2回数えてしまう可能性があります。
しかし、すべてのマスで同じルールを適用することで
- 1回目に数えなかった細胞
→ 次のマスでカウントされる
つまり、1つの細胞は必ず1回だけ数えられる仕組みになります。
数える順番も重要|再現性を高める
順番を決めないと、
- 数え漏れ
- 二重カウント
が発生しやすくなります。
よく使われる方法
パターン①
上から下に1列ずつ
パターン②
右から左にジグザグ(S字)
どの辺をどの順番で数えるかは自由ですが、重要なのは“ルールを全マスで統一すること”です。
よくあるミスと対策|数え間違いを防ぐコツ
① 境界の細胞は“入り具合”も見る
→ 判断のブレを減らす
② 途中で中断しない
→ 再開するとズレる
③ 指差し・ペンで追う
→ ミスが大きく減る
よくある実務上の工夫
① 細胞数が多い場合はカウント範囲を調整する
大区画の細胞数が多すぎる場合は、4マスすべてではなく、1マスのみをカウントすることもあります。
その場合は、後から倍率をかけて全体の細胞数を算出します。
② カウンターを使用する
細胞数が多い場合は、手で数えるのではなくカウンターを使うことでミスを防ぐことができます。
まとめ|血球計算盤の数え方のポイント
👉 境界ルールは自分で決めてOK
👉 ただし必ず全マスで統一
👉 数える順番も固定する
今日のおさらい
~ちょっと考えてみよう~
Q1:上と右を数えるルールの場合、この図の細胞数はいくつでしょう?

A:18個
見えている細胞すべてを数えるのではなく、“ルールに従って数える”ことが重要です。
左と下の細胞は見えていてもカウントしない点に注意しましょう。
