洗剤の記事を書いていて、ふと酸素系漂白剤の表示を見てみました。
洗剤のpHについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
すると、ある商品には「酸性」と書いてあります。
「あれ?酸素系漂白剤はアルカリ性では?」と思いました。
酸素系漂白剤といえば、オキシクリーンなどの粉末タイプ。
これはアルカリ性のはずです。
では、なぜ「酸性」と表示されているのでしょうか?
今日は、酸素系漂白剤の素朴な疑問と使い分けについて解説したいと思います。
漂白剤には3種類ある
その前に、漂白剤にはいくつかの種類があります。
主に
- 還元系漂白剤
- 酸素系漂白剤
- 塩素系漂白剤
の3つです。
それぞれ成分やpH、用途が異なります。そしてそれぞれの目的に応じて使い分けをしています。そして、実は、酸素系漂白剤には2つのタイプがあります。

酸素系漂白剤は、どちらのタイプも過酸化水素が分解して生じる酸素の力で汚れを落とします。この仕組みを「酸素系漂白」と呼びます。
過酸化水素は分解すると水と酸素になります。
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
このとき発生する酸素が、汚れを分解していきます。
粉末と液体の違いは、粉末タイプは水に溶けると過酸化水素が発生するのに対し、液体タイプは最初から過酸化水素を含んでいる点です。
この違いについては、次で詳しく説明します。
オキシクリーンが酸性?という疑問
私が見た商品は洗濯用の液体オキシクリーンでした。
実はオキシクリーンには、いくつかの種類があります。
例えば次のような商品があります。
・オキシクリーン(粉末) → 弱アルカリ性
・オキシクリーンEX → 弱アルカリ性
・液体タイプ → 弱酸性〜中性
このように、同じ「オキシクリーン」でも粉末タイプと液体タイプでpHが異なることがあります。
ちなみに「オキシクリーン」という名前も、実はこの酸素(oxy)による洗浄が由来になっていると考えられます。
表示の表現について
家庭用品の表示では、
・弱アルカリ性
・中性
・弱酸性
といった区分が表示されます。
ただし、この区分は成分や配合によってメーカーが表示するもので、
必ずしもすべての製品が同じ基準で表示されているわけではありません。
例えば、過炭酸ナトリウムが主成分の粉末タイプであれば、基本的にはアルカリ性になります。
粉末の酸素系漂白剤の仕組み
粉末タイプの酸素系漂白剤の主成分は過炭酸ナトリウムです。
粉末タイプの酸素系漂白剤のpHはおおよそ 10〜11 で、弱アルカリ性〜アルカリ性です。
なぜアルカリ性になるのでしょうか。
過炭酸ナトリウムは水に溶けると
・炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)
・過酸化水素(H₂O₂)
に分かれます。
炭酸ナトリウムはアルカリ性の成分で、洗浄力を生み出します。
一方、過酸化水素は分解すると酸素を発生し、この酸素の力で汚れを分解します。
つまり粉末タイプの酸素系漂白剤は
アルカリの洗浄力 + 酸素の漂白作用
この2つの働きで汚れを落とします。
そのため酸素系漂白剤は「漂白剤」でありながら、実はアルカリ洗剤としても働いているのです。
液体の酸素系漂白剤の仕組み
液体タイプの酸素系漂白剤は粉末タイプとは仕組みが少し異なります。
主成分は過酸化水素(H₂O₂)です。
つまり液体タイプでは水に溶けて過酸化水素が発生するのではなく、最初から過酸化水素が含まれています。
なぜ弱酸性なのか、その理由は、過酸化水素はアルカリ条件で分解しやすい性質があるからです。
分解すると
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
となり、酸素が発生します。
アルカリ条件ではこの分解が進みやすいため、
・どんどん分解してしまう
・酸素が出てしまう
・漂白剤としての効果が弱くなる
という問題があります。
そのため液体の酸素系漂白剤では
・弱酸性に調整する
・安定剤を加える
ことで、過酸化水素を安定させ、長期間保存できるようにしているのです。
なぜ酸素系漂白剤はお湯で効くの?
酸素系漂白剤は、お湯で使うと効果が高まると言われます。では、なぜお湯のほうがよく落ちるのでしょうか。
温度が上がると反応が速くなる
ここで重要なのが、化学反応は温度が高いほど速くなるという性質です。
過酸化水素は分解すると
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
となり、酸素が発生します。
温度が高いほど
・反応が速くなる
・酸素が出やすくなる
ため、漂白効果が強くなります。
ただし、液体の酸素系漂白剤をアルカリ性の洗剤と一緒に水に溶かして長時間放置すると、過酸化水素は徐々に分解していきます。そのため、時間が経つほど漂白作用は弱くなると考えられます。
汚れがゆるむ
さらにもう一つ理由があります。それは油汚れがやわらかくなることです。
皮脂や油は、温度が上がると溶けやすくなります。
例えば
・冷たい油 → 固い
・温かい油 → サラサラ
ですよね。つまりお湯を使うと
・汚れがゆるむ
・漂白反応が進む
このダブル効果で汚れが落ちやすくなります。
では熱湯のほうがいい?
ここで「じゃあ熱湯の方がもっと効くのでは?」という疑問が出ます。
実はそうとも限りません。
理由は
・過酸化水素が急激に分解する
・洗剤の効果が持続しない
・衣類が傷む
ためです。そのためメーカーは40〜50℃をおすすめしています。
これは漂白効果と安全性のバランスが良い温度だからです。
酸素系漂白剤が血液汚れに強い理由
服に血がついてしまったとき、酸素系漂白剤で落とすとよいと言われます。
その理由は血液汚れの正体はタンパク質の汚れだからです。血液にはさまざまな成分が含まれていますが、主なものは次の2つです。
- 赤血球(ヘモグロビン)
- 血漿タンパク質
このうちヘモグロビンはタンパク質でできています。
つまり血液汚れ = タンパク質汚れということになります。
酸素系漂白剤の過酸化水素の酸化作用にはタンパク質を壊す働きがあります。
これにより、
- 血液の色が分解される
- タンパク質が壊れて落ちやすくなる
という仕組みです。さらにアルカリは
- タンパク質汚れ
- 皮脂汚れ
を落としやすくします。
つまり酸素系漂白剤は
① 酸化作用
② アルカリ洗浄
という2つの作用で血液汚れを落とします。
血液汚れはお湯NG
ここで注意点があります。
血液汚れは最初にお湯を使うと落ちにくくなります。
これはタンパク質が熱で固まるからです。
卵を加熱すると白く固まりますよね。あれと同じことが血液でも起こります。
そのため血液汚れは、「まず水で洗い、その後漂白する」のが基本です。
まとめ
酸素系漂白剤には粉末タイプと液体タイプがあり、どちらも過酸化水素から生じる酸素の力で汚れを落とします。
粉末タイプはアルカリの洗浄力もあわせ持ち、お湯を使うとより効果が高まります。
一方で、血液汚れは最初にお湯を使うと固まりやすいため、まず水で洗ってから漂白するのが基本です。
酸素系漂白剤は、同じように見えても粉末と液体で成分も性質も異なります。
違いを知って使い分けることで、より効果的に汚れを落とすことができます。
今日のおさらい
~ちょっと考えてみよう~
① 液体の酸素系漂白剤はどうやって汚れを落としている?
A 過酸化水素による酸素
B 炭酸ナトリウムによるアルカリと酸素
C 次亜塩素酸ナトリウムによるアルカリ
② 酸素系漂白剤を使うのに汚れが落ちやすい温度は?
A 常温
B ぬるま湯(40~50℃)
C 熱湯
③ 酸素系漂白剤で落とせる汚れは次のうちどれ?
A コップの茶渋
B シンクの水垢
C 血液のついた衣服
答え
①;A
②;B
③;C
