フローサイトメトリーは、細胞の種類や状態を詳しく調べることができる強力な分析手法です。
しかし、実際にデータを理解するためには「測定 → 補正 → 解析」という一連の流れを正しく理解する必要があります。
この記事では、フローサイトメトリーの解析の流れを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
バラバラに見えがちな「コンペンセーション」「ゲーティング」「ドットプロット」が、どのようにつながっているのかを整理していきましょう。
フローサイトメトリー解析の全体像
フローサイトメトリーの解析は、大きく3つのステップに分かれます。
- ① 測定(細胞の情報を取得する)
- ② 補正(データのズレを直す)
- ③ 解析(目的の細胞を読み取る)
この流れを意識することで、解析全体が一気に理解しやすくなります。
① 測定|細胞の情報を取得する
フローサイトメーターでは、細胞が1つずつ流れながらレーザーに当たり、さまざまな情報が取得されます。
主な情報は以下の2つです。
- FSC(Forward Scatter):細胞の大きさ
- SSC(Side Scatter):細胞の内部構造の複雑さ
さらに、蛍光抗体を用いることで、細胞表面のCD抗原なども同時に測定できます。
ここで得られるのが「生データ」です。
フローサイトメトリー入門②FSC・SSC・ゲーティングをやさしく解説【図解】
② コンペンセーション|蛍光の重なりを補正する
複数の蛍光色素を使用すると、それぞれの光が完全に分離されず、隣の検出器に“にじむ”ことがあります。
これをスペクトルオーバーラップと呼びます。
このままでは正しい解析ができないため、コンペンセーション(補正)によって、このズレを取り除きます。
ここでのポイントは、補正は「解析の前」に必ず必要ということです。
③ ゲーティング|解析対象の細胞を選ぶ
測定データには、目的の細胞以外にも
- ゴミ(デブリ)
- 壊れた細胞
- 別の細胞種
などが含まれています。
そこで行うのがゲーティングです。
例えば、
- FSC × SSCでリンパ球を選ぶ
- その中から特定の細胞群を抽出する
といった操作を行います。

**ゲーティングは「どの細胞を見るかを決める作業」**です。
ドットプロット|細胞の性質を読み取る
ドットプロットでは、2つの指標を使って細胞を可視化します。
例えば
CD4(横軸)× CD8(縦軸)
のように設定すると、
1つの点=1つの細胞として表示されます。
このとき、グラフは4つの領域に分かれます。
- 左下:両方陰性
- 右上:両方陽性
- 左上・右下:どちらか一方のみ陽性
この分布から、細胞の種類や状態を読み取ります。

よくある失敗と注意点
フローサイトメトリー解析では、以下のようなミスがよく起こります。
- コンペンセーション不足 → データがズレる
- ゲーティングが雑 → 不正確な結果になる
- 軸の意味を理解していない → 誤解釈につながる
各ステップが正しく行われてはじめて、信頼できるデータになります。
まとめ
フローサイトメトリーの解析は、
- 測定
- 補正(コンペンセーション)
- 解析(ゲーティング・ドットプロット)
という流れで成り立っています。
この順番を意識することで、個々の知識がつながり、理解が一気に深まります。
