すっぽんはなぜ効く?排水溝トラブルを物理で考える

生活×科学シリーズ

普段ずぼらな私は、先日来客のために久しぶりに排水溝の掃除をしました。

といっても大掛かりなものではありません。
排水溝のカップとゴミ受けトラップを袋に入れ、ハイター溶液につけて放置するだけです。

ついでに余った歯ブラシで排水溝の口を軽くこすってみると……
大量の汚れがびっしり。

そこで排水溝の周りにもハイターをかけ、しばらく放置しました。
見た目はそこそこきれいになり、一件落着。

……のはずだったのですが。

翌日から、排水溝の流れが急に悪くなり始めたのです。

数日ほどだましだまし使っていましたが、一向に改善する気配がありません。
仕方なく対策をすることにしました。

そしてこれが、思わぬトラブルの始まりになるとは、そのときは夢にも思っていませんでした。

排水溝が詰まり始めたときにやってはいけないこと3選

結論から言います。

私が調べて分かった「やってはいけないこと」はこの3つです。

① パイプユニッシュをいきなり入れる
② 金属の専用ワイヤーでつつく
③ パイプユニッシュの後にハイターをかける

慌てた私は、真っ先にパイプユニッシュを排水溝に投入。
30分ほど放置しました。

すると……
状況はむしろ悪化。

あとからYouTubeで調べて知ったのですが、
普段掃除していない排水溝にいきなりパイプユニッシュを使うと、
排水管の壁についていた油汚れが一気に剥がれ落ち、
それが塊になって排水管をふさいでしまうことがあるそうです。

なお、パイプユニッシュ自体が悪いわけではありません。

日頃から排水溝の掃除をしている場合や、
軽い汚れの段階で定期的に使用する場合には、
汚れの分解に効果的なことも多いです。

ただし、長期間掃除をしていない排水管の場合は、
汚れが一気にはがれ落ちて塊になることもあるため、
使用するタイミングには注意が必要です。

また、金属ワイヤーなどで無理につつくと、
排水管を傷つけてしまい、最悪の場合は床下漏水の原因になることもあるそうです。

YouTubeで見つけた「ビニール袋陰圧法」

SNS時代、調べればいろいろな方法が出てきます。

YouTubeで見つけたのが、
**「ビニール袋陰圧法」**という方法でした。

方法はこうです。

排水溝にビニール袋を入れ、
中にキッチンペーパーを入れて排水口をふさぎます。

その状態でシンクにお湯をため、ビニール袋を一気に引き抜く。

すると水が一気に流れ、詰まりが取れることがあるというのです。

コメント欄には成功報告がたくさん。

私も試してみることにしました。

ビニール袋の中にも少し水を入れて、排水口との密着を強くしてから実行。

1回ではなく、何回か繰り返すと良いというコメントも多かったので、続けてやってみました。

3回ほど試すと、かなり流れが改善。

「これは成功かも!」

そう思い、念のためもう一回……
と4回目を試した瞬間。

急に水の流れが悪くなり、元より悪い状態になってしまったのです。

ただし、ビニール袋陰圧法が全く役に立たないわけではありません。

実際に私の場合も、3回ほど試した段階では流れがかなり改善しました。

つまりの原因が軽い油汚れや食べかす程度であれば、
水の流れによる一時的な圧力でも十分動かせる可能性があります。

実際、特別な道具を使わずに試せる方法としては、とても優秀だと思います。

ただし、つまりの原因が大きな油の塊だった場合は、
一度動いた汚れが再び配管の途中で詰まり直すこともあります。

今回の私のケースは、まさにそれだったのかもしれません。

混ぜるな危険には本当に注意

水はけが悪く、お湯ももったいないので、
パイプユニッシュをした後のシンクにハイターをかけてしまいました。

これは本当に危険です。

「混ぜるな危険」

パイプユニッシュとハイターが混ざると、有毒ガスが発生する可能性があります。

今回は何度もお湯を流した後だったため、大きな問題にはなりませんでしたが、

本当に危険なので、絶対に真似しないでください

最終兵器「すっぽん」

仕方なくホームセンターで「すっぽん」を買ってきました。

ニトリで1000円ほどの、キッチン対応のものです。
※ちなみにダイソーでも300円で売っていましたが、残念ながらトイレ用でした。

帰宅して試してみると、排水溝のサイズとほぼぴったり。

ゴムなので少し押し込み、排水口に密着させてから棒を上下に動かしてみました。

すると

ボコボコッ!!

という音とともに、下水のにおいが上がってきました。

何度かピストン運動を繰り返すと……

あっという間に詰まりは解消。

正直、ここまで効果があるとは思っていませんでした。

ビニール法とすっぽんの違い

なぜ、ここまで効果が違うのでしょうか。

ポイントは、圧力のかかり方の違いです。

ビニール袋陰圧法は「水が一気に落ちる力」。

つまり、一瞬の水圧を利用しています。

しかしこの方法では、

・圧力は1回だけ
・空気がクッションになりやすい
・圧力が横の配管で弱まる

という弱点があります。

一方、すっぽんは

排水口を密閉しながら
水を前後に動かします。

つまり、圧力を何度も往復させることができるのです。

つまり解消の本質は「振動」

詰まりの多くは油や食べかすが固まったものです。

こうした汚れは1回の力では動きません。

しかし

押す
引く
押す
引く

を繰り返すことで、少しずつ崩れていきます。

つまり解消に効くのは、

「圧力の大きさ」より

圧力の変化と繰り返し

なのです。

水はほとんど圧縮できない性質があります。
そのため、腕の力がそのまま水圧として伝わり、

排水管の中で、水と油の塊が一緒に動き、詰まりが崩れていくのです。

実はすごい「すっぽん」という道具

私は高校時代、物理が大の苦手でした。

いつも赤点で、このせいで希望していた大学の推薦が取れなかったという
ちょっとしたトラウマがあります。

今回は数式を使っていませんが、
概算では

ビニール法とすっぽんでは、最大で10倍近い圧力差が生まれる

とも言われています。

大嫌いだった物理ですが、こんなところで助けられるとは思いませんでした。

昔から使われている「すっぽん」は、とても単純な道具ですが、

詰まりを解消するための重要な仕組みをちゃんと備えています。

科学は、実はとても身近で、
私たちの生活を支えてくれているのかもしれませんね。

今日の理解度テスト

Q1. すっぽんが排水溝の詰まりに効く理由はどれでしょう?

A 水は空気より重いから
B 水はほとんど圧縮されず圧力が伝わるから
C すっぽんが油を溶かすから


Q2. ビニール袋陰圧法とすっぽんの最大の違いは?

A すっぽんは何度も圧力をかけられる
B すっぽんは温度が高い
C すっぽんは空気を抜く


答え

Q1:B
Q2:A

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