こんにちは。まゆたろうです。
今回は、私が体験した「子どもの付き添い入院」について書きます。
タイトルにもあるように、「付き添い入院は親のわがままなのか?」という問いを、体験を通じて考えることになりました。
この言葉は、子どもの入院時に職場で耳にしたもので、今も忘れられません。
誰かを責めたいわけではなく、同じような境遇の方が少しでも参考にしていただけたら…そんな想いで書いています。
入院はある日突然に
旅行から帰ってきた週末、子どもが発熱しました。
「疲れかな?薬を飲めば治るはず」と思っていたものの、熱はなかなか下がらず。
かかりつけ医の勧めで大きな病院を受診し、検査を受けると想定外の結果に。
その日のうちに緊急入院が決まりましたが、あいにく付き添いが可能な個室は満室。
子どもだけの入院が始まり、私は帰宅することになりました。
心のどこかで「これでやっと出勤できる…」と感じた自分がいたのも事実です。
数日間、看病のために仕事を休んでいたため、社会人としての焦りも大きかったのだと思います。
面会は1日30分だけ
翌日、仕事を早退して30分だけの面会。
子どもは不安そうな表情でした。
「何かあったらこれで連絡してね」と、予備のスマホを渡して病院を後にしたのですが、
その晩、電話が鳴りました。
「痛い…こわい…早く迎えに来て…」
そんな声が電話越しに聞こえ、私はどうすることもできず、ただ話を聞くしかありませんでした。
けれど翌日、看護師さんから「大部屋ではテレビ電話はお控えください」との案内があり、子どもと話せる時間はさらに限られてしまいました。
付き添い入院を決意するまで
日々の面会で子どもの様子を見ていると、「そばにいてあげたい」という気持ちは日に日に強くなりました。
看護師さんに相談すると、「個室が空き次第ご案内します。なお、付き添いの交代は原則できません」とのこと。
迷いはありました。
仕事のこと、家庭のこと、体力面の不安──。
それでも、子どもにとって今一番安心できる環境を考えたとき、「一緒にいる」という選択をすることにしました。
会社に伝えたときのこと
付き添いの開始を決めた翌朝、上司に看護休暇の取得を申し出ました。 チームの方々は理解を示してくれたのですが、一部からはこんな言葉も。
「付き添い入院って、正直、親の自己満足なのでは?」
私にとっては苦渋の決断でしたが、全ての人に同じ温度感で受け止めてもらうのは難しいこともあるのだと感じました。
一向に退院の見通しが立たず、夫と相談したうえで「介護休職を取得できないか」と会社に相談しました。
医師からの診断書も用意し、制度上は申請可能な状況でしたが、
「病院で“お預かり”が可能なら、親が介護休職を取る必要はないのでは?」
と、上司と人事から指摘を受け、申請は認められませんでした。
そのとき初めて、「付き添い入院って、親の希望にすぎないと思われることもあるんだ」と感じたのです。
これが、この記事のタイトル「付き添い入院は親のわがままか?」につながっています。
結局、有給休暇と欠勤を使って乗り切ることになりました。
小児病棟での生活
付き添い入院が始まり、私は子どもと一緒に大部屋で過ごすことになりました。
寝るのは簡易ベッド。
シャワーは使える時間が限られ、食事は昼と夜の付き添い食。
食べる時間があまりないので、朝ご飯は抜くことにしていました。
看護師さんは治療のプロではありますが、子どもの身の回りのお世話は基本的に親の役割です。
- 排泄の介助
- 食事のサポート
- 痛みや症状の伝達
- 情緒面のケア
未就学児が医師と自分の症状を正確に伝えるのは、想像以上に難しいものです。
医師や看護師さんからは毎日のように、
「今日の体調はいかがでしたか?」
「どこが痛いって言っていましたか?」
と質問されるため、付き添い入院における私の一番の仕事は子どもの“通訳”でした。
子ども支援士さんに教わった「権利」
この病院には「子ども支援士」という専門の方が常駐していて、子どもと遊んでくれたり、保護者の話を聞いてくれたりします。
ある日、その方がこんな話をしてくださいました。
「子どもには、医療を受けるときに保護者の付き添いを求める権利があります。これは“子どもの権利条約”で明記されている大切なことです」
その言葉を聞いたとき、「付き添っていていいんだ」と、少し肩の荷が下りたような気がしました。
実は私自身、それまで子どもの権利条約も「子どもが医療行為を受ける際に、安心できる環境を整えるための制度や専門職の存在」についても全く知りませんでした。
子どもの権利を保障し、安心して医療を受けられるようにするために、多くの病院では、保育士、チャイルドライフスペシャリスト(CLS)、子ども支援士などの専門職が配属され、小児科病棟での生活や治療をサポートしてくれています。
子どもへの心理的なケアだけでなく、保護者への支援や、医療スタッフとの橋渡しなど、様々な角度からサポートが行われていることを、付き添いを通じて初めて知りました。
長期入院の現実と、見えた限界
結局、治療のためさらに大きな病院に転院し、付き添い期間は約3週間に。
2つ目の病院では、付き添いの交代も可能で、父親や祖父母の姿も見かけました。
「親が寝かしつけて帰宅する」というスタイルの方も多く、各家庭が無理のない形を模索している印象でした。
とはいえ、長期間にわたる病院生活は、付き添う側にとっても大きな負担です。
十分な睡眠がとれず、体調を崩しそうになったとき、担当の先生から
「無理せず、お預かりもできますよ」
と声をかけていただきました。
付き添い入院は、心の面では得られるものがたくさんありますが、体力的・精神的・経済的な負担も大きいのが現実です。
退院後に感じたこと
無事に退院を迎えたあと、私は以前よりもさらに会社に行きづらさを感じるようになり、働き方を見直すきっかけとなりました。
「今までと同じようには働けないかもしれない」
「もっと柔軟に、自分と家族のペースで生きたい」
そんな思いが自然と芽生えてきました。
付き添い入院のメリット・デメリットまとめ
◎メリット
- 子どもが安心して治療を受けられる
- 病状を最も近くで見守れる
- 医療スタッフと細やかに連携できる
△デメリット
- 体力的・精神的な負担が大きい
- 経済的コスト(個室使用料など)
- 仕事やキャリアに影響を及ぼす可能性も
最後に:今日を生きているだけで花丸!
ある日突然、病気はやってくる。
それまで当たり前だと思っていた「日常」が、当たり前ではなかったと気づかされました。
滑り台を一緒に滑った日々、何気ない会話、寝顔を見ながら過ごす夜。
どれもが、かけがえのない日常でした。
だからこそ私は、今こう思います。
今日を元気に生きているだけで、花丸。
明日何があるか分からないからこそ、自分らしく生きたい。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。