「●●ーゼ」の意味から始める酵素の話 〜消化から血液検査まで〜

分析屋まゆたろうの実験ノート

「●●ーゼの“ーゼ”ってどういう意味?」
という素朴な疑問から、

・消化酵素(ラクターゼ)
・酵素がある場所
・血液中の酵素(AST)
・酵素活性の測り方

までつながって理解できるようにまとめます。
各章に理解度テストを1問ずつ入れています。


第1章:「ーゼ(-ase)」の意味

結論:
👉 「ーゼ(-ase)」は“酵素である”という目印です。

国際的な命名ルールで、酵素名の語尾に -ase を付けます。

例:

  • アミラーゼ(デンプンを分解)
  • ラクターゼ(乳糖を分解)
  • リパーゼ(脂肪を分解)
  • DNAポリメラーゼ(DNAを合成)

「何に作用するか」で名前が決まります。
※ペプシン・トリプシンなど例外的に“ゼ”が付かない古い名称もあります。

理解度テスト①

「ラクターゼ」という名前から、何に作用する酵素だと分かりますか?


第2章:ラクターゼは何をする酵素?

乳糖(ラクトース)は二糖類です。

乳糖
↓(ラクターゼ)
グルコース + ガラクトース

つまりラクターゼは
👉 乳糖を単糖2つに分解する酵素です。

理解度テスト②

乳糖は何と何に分解されますか?


第3章:ラクターゼはどこにある?

乳糖を分解するラクターゼは
👉 **小腸の表面(刷子縁)**に存在します。

小腸の内側には
ヒダ → 絨毛 → 微絨毛
と構造があり、その微絨毛の表面に酵素が固定されています。

分解した直後に吸収できるため、効率的です。

理解度テスト③

ラクターゼは「胃」ではなく「小腸の表面」にあるのはなぜ効率が良いのでしょうか?


第4章:乳糖不耐症はなぜ起こる?

ラクターゼが少ないと:

乳糖が分解されない

そのまま大腸へ

腸内細菌が発酵

ガス・下痢・腹痛

これは
👉 酵素基質反応が起きないことで生じる症状です。

腸炎などで小腸表面が傷つくと、一時的に同じ状態になることもあります(二次性乳糖不耐症)。

理解度テスト④

小腸の粘膜が傷つくと、なぜ乳糖不耐症のような症状が出るのでしょうか?


第5章:血液の中にも酵素はある

血液検査でよく見る酵素:

  • AST(GOT)
  • ALT(GPT)
  • LDH

これらは本来、肝臓や筋肉の「細胞内」にある酵素です。

細胞が壊れると

酵素が血中に漏れる

検査値が上昇

👉 酵素は「細胞障害の指標」として使われます。

理解度テスト⑤

ASTが血液中で増えるのは、どのような現象を反映していますか?


第6章:なぜ“量”ではなく“活性”を測るのか

酵素は触媒です。
重要なのは「どれだけ速く反応を進められるか」。

だから測るのは
❌ 酵素の重さ
❌ 分子の数

ではなく

酵素活性(反応速度)

単位:U/L(1分間にどれだけ基質を変換できるか)

高温やpH変化で酵素が失活すると、量があっても活性は低下します。

理解度テスト⑥

酵素の「量」が多くても「活性」が低くなるのはどんな場合でしょうか?


第7章:AST活性はどうやって測る?(連続反応)

ASTの反応:

アスパラギン酸 + α-ケトグルタル酸
↓(AST)
オキサロ酢酸 + グルタミン酸

オキサロ酢酸はそのままでは測れません。

そこで別の酵素反応につなぎます(連続反応)。

オキサロ酢酸
↓(LDH)
リンゴ酸
そのとき
NADH → NAD⁺

NADHは340nmの紫外線を吸収します。
NAD⁺はほとんど吸収しません。

👉 吸光度の減少速度 = AST活性

理解度テスト⑦

AST活性が高い検体では、NADHの吸光度はどう変化しますか?


まとめ

✔ 「ーゼ」は酵素の目印
✔ ラクターゼは乳糖を分解する
✔ 小腸表面に存在する
✔ 酵素が働かないと症状が出る
✔ 血液中の酵素は細胞障害の指標
✔ 酵素は活性で評価する
✔ 連続反応で可視化できる

「ーゼって何?」という疑問から、
消化・病気・検査まで、すべて同じ“酵素基質反応”で説明できます。

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